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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第4章 看病二日目 効果のない線引


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夜が明け、人々が動き始める音がそこかしこで聞こえ始めた。

土間に下りて米が入った釜に火を入れていると、佐助が目を覚ました。
熱を確かめると夜中に服用した薬のおかげか、それほど高くない。

舞がこまめに水の補給をと言っていたので、佐助に水を入れた湯呑を渡す。



謙信「湯を用意しておいた。熱が下がっているうちに身体を清めておけ、着替えは置いておく」

佐助「ありがとうございます、謙信様。
 あれ、眼鏡、眼鏡……」


佐助が緩慢な動作で床を探り出した。


謙信「お前は本当に目が悪いのだな。すぐそこにあるだろう」

佐助「すみません、そことはどこですか」


大真面目な顔で眼鏡を探している。


謙信「持ち物の世話までしなけばならんのか。
 ここだ。枕元に置いて寝たのはお前だろう」


最早どちらが部下なのかわからん。
眼鏡ごとき、自分でどうにかして欲しいものだ。


佐助「っ!ありがとうございます」


眼鏡をかけてやっと思考が回り始めたらしく、佐助がいそいそと仕度にかかる。


謙信「そろそろあの女が来る頃合いか。
 今日は城から食器や鍋を借りてくると言っていたな」


昨日も食材を揃えるために重い荷物を持たせてしまった。
さして筋力もない女に連日重い物を持たせるのは気が引ける。


佐助「食器類だけでも大荷物なのに、舞さんのことだから買い物もしてくるだろうし、心配ですね、謙信様」

謙信「心配などしておらん」


釜から水気を含んだ音が聞こえてくる。炊き上がりまではもう少しかかる。


謙信「思うように鍛錬もできぬゆえ、身体が鈍って仕方がない。少し外を歩いてくることにしよう。
 佐助、お前はさっさと身綺麗にしておけ」


半裸になって身体を清めていた佐助が意味ありげな視線を送ってくる。

いったいどういうわけなのか、最近このような視線を向けられる回数が増えている。

理解できぬ視線の意味を考えながら、外に一歩踏み出した。




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