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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第60章 姫の想い人


「謙信様っ………、ごめんなさい。
 自分の気持ちに気付いていなかったんです。惹かれていたのかもしれません。
 そしてっ、はぁ、気づかないまま再会し、同じように光秀さんと接していました。
 だからあなたをこんなに不安にさせてしまって…ごめんなさい!!」


呼吸が落ち着くのなんか待っていられなかった。
一秒でも早く伝えたかった。


「光秀さんに惹かれていたのが事実でも、私はあの時あなたと出会い、知り合い、触れて……はぁ、あなたが愛しいと…思ったんです!
 その気持ちだけは嘘偽りない気持ちです。今だって謙信様と、謙信様との子供が居て、幸せなんです。
 大好きで愛しくて、あなたの代わりになる人なんて居ない。
 謙信様と離れていた10日間は…はぁ、半身を失くしたような気持ちでしたっ」


地面についていた手を、謙信様の両手に伸ばし…掴んだ。


「あなたが居ない日など、もう考えられません。
 私だって謙信様が離れていったらと思うと、もう……生きていけないんです」


(愛想を尽かされたらどうしよう)


他の人に気をとられた妻なんか、謙信様は許してくれないだろう。
唯一の人を失いそうになって涙が出た。


「ごめんなさいっ、自分の気持ちなのに、わかってないなんて…。
 謙信様を愛しています。信じてください。あなたのことを失いたくないっ」

謙信「こっちを向け」


俯いていた顔を上向けにされた。

しゃくりあげながらのろのろと視線をあげる。


(どうしよう、もう嫌いだって言われたら)


そんなの、心臓が止まって死ぬんじゃないかと思う。


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