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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第60章 姫の想い人


(姫目線)

謙信様が私と二人きりで話がしたいと、子供達を佐助君に預けて小屋を出た。
何も聞いていなかった私は面食らい『どうしたんですか?』と手を引かれるままに歩いてきた。


「お鍋を火にかけたままにしてきちゃったじゃないですか。急にどうしたんですか?」

謙信「煮立ったら誰か気づいてどうにかするだろう。それよりここに座れ」


謙信様は太い樫の木の下に座った。
ここと言ってポンと叩いたのは謙信様の膝の上だ。


「……はい」


謙信様を咎めていたくせに、嬉しくて頬が緩んだ。

再会してからというもの一つの部屋で共同生活しているので、謙信様に触れたくても触れられないでいた。

横を向いて腰をおろすと腕が回り、すっぽりと包まれた。


「謙信様だ……ふふ」


身を任せ、目を瞑ると謙信様の匂いがする。
胸いっぱいに吸い込んで、幸せのため息を吐いた。


謙信「俺が居ない間、信長と蘭丸に何もされなかったか?」

「もう、それ何回聞くんですか?何もなかったですよ。
 夜は寒かったので近くで寝ましたが、それだけです」

謙信「…近くで寝ただけでも罪深いが、致し方なかったとしよう。
 お前が風邪をひいては大変だからな」


文句を言いながらさりげない動作で着物の袷から手を入れてくる。

ギョッとして謙信様の手首を掴んだ。


「ちょっと、謙信様っ!?」


慌てて周囲を見渡した。


「こんな所で何するんですか!?」

謙信「…こんな所でしかお前に触れられないだろう?
 他の男と寝食を共にしていたというだけで腸(はらわた)が煮えくり返っているというのに、ひとつも触れられない。気が狂いそうだ」


捕まえていた手を物ともせず、謙信様の手が侵入してきた。
襦袢越しに感じる手の感触に肌が熱をあげた。


「あっ」


外でこんなことをしたことがなくてさらに抵抗すると、謙信様の表情が途端に険しくなった。


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