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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第59章 それぞれの道


戦国時代から現代へ帰った時は、安土の皆の最期を怖くて調べられずにいた。

時の神が元通りの歴史になるようにしたというのなら、この目で確認したかった。


ぺら……


佐助君はズレはあっても歴史は元通りに進んでいると言っていた。
大阪の陣が歴史通り起こったのなら、その前の関ケ原の戦いだって…。


(やっぱり。三成君は元の歴史通り関ケ原の戦いで亡くなってるんだ)


『私と家康様なら話し合えば必ず解決致します。心から尊敬する家康様と喧嘩することはありません』


約束してくれた三成君の顔が鮮明に浮かび、胸がキュッと痛んだ。


ぺら……


そこには秀吉さんの最期が書かれていて、学校で習った通りのまま何一つ変わっていなかった。


「…………っ」


(秀吉さんは…信長様と私の三人で話した内容を忘れてしまったのかな)


それとも覚えていながら、子供を家臣の方々に託したのだろうか。


(何も変わってない)


あれほど『歴史を変えることが怖い』と怯えていたのに、変わっていない歴史にがっかりするなんて勝手だ。

歴史書を捲る手はいつの間にか止まり、私の目は文字を追うのをやめた。


(回りくどい言い方なんてしなきゃ良かった)


もっと具体的に言えば伝わったかもしれないのに、ハッキリ言わなかったがために秀吉さんは寂しい最期を迎え、三成君はさらし首にされてしまった。

悪阻で寝込んでいた時に足繁く訪ねてきてくれた二人の姿が、心の闇に飲み込まれて消えていく。

佐助君にお礼を言って歴史書を返し、誰も居ない小屋に戻って竈の前にしゃがみ込んだ。

両膝におでこをくっつけると虚ろな心が真っ黒になっていく。


??「………舞?どうした」


ジャリっと足音がして、頭の上に低い声が落ちてきた。

緩慢な動きで声の主を見上げると、さも不思議なものを見るように信長様が立っていた。


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