第58章 時の神
「ん…」
ゾクゾクとした快感に、力が抜けた。
そこだけ肌が熱い。
寄りかかった私をなんなく支え、謙信様が呟いた。
謙信「舞は俺のものだ」
「…はい」
現代で暮らしていた時、謙信様はキスマークをつけようとしなかった。
子供達に追及されたら私が困るだろうという理由で。
でも今はためらいなく目立つ場所に所有痕を残した。
皆に見られたら恥ずかしいけど怒る気にはならなかった。
(不安にさせちゃったんだ。私がフラフラしているように見えたのかな)
「謙信様、不安にさせて申し訳ありません」
頭を硬い胸に預け、背中に腕を回すと張りつめた雰囲気がやっと緩んだ。
謙信「どこにも…誰のところにも行くな。
舞の居る場所は俺の隣だ」
「ふふ、はい!今夜は、久しぶりに隣で寝てくださいね?」
謙信「もちろんだ」
前髪をどけられ、おでこに優しい口づけが降ってきた。