第58章 時の神
見下ろしてくる琥珀の瞳は優しい光を浮かべていて、見惚れていると…
謙信「舞?」
「は、はいっ?!」
思わず背筋がぴんと伸びた。みると戸口に謙信様が立っている。
謙信「いつまで明智と話している?もう寝るぞ」
「はい、すぐ行きます。光秀さんも、寝ましょう?」
光秀「ああ。これ以上お前と話していると、謙信に寝首を掻かれそうだからな」
「そ、そんなことしませんっ!安心して眠ってください!」
光秀さんの後をついていき、戸口で謙信様と並んだ。
謙信様の手に片腕を掴まれて足を止めた。
謙信「何を話していたのだ?」
光秀さんと話し過ぎて怒っているのかと思ったけど、謙信様は不安、焦燥、怒りが混ざった表情をしている。
「お礼を伝えて、元気でしたか?って聞いていただけです」
謙信「本当か?お前達はまるで…想い合っているように見えた」
「え…?」
色違いの目が、心に直接切り込んでくるように鋭い。
謙信様がこんな目をするなんて…。