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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第58章 時の神


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質素な夕食が終わると、蘭丸君が用意してくれた干し草を大量に部屋に運び入れた。

急ごしらえだったからまだ半乾きなのは仕方ない。

まだ青臭さが残る干し草を敷布団がわりに、全員分の寝床を作っていく。


結鈴「は、くしゅっ!!」

龍輝「べっくしゅっ!!」


干し草を敷いた際の埃を吸ったのか、子供達がクシャミをしている。

外に連れて行ってあげようとしたら、白い影が二人に近寄った。


光秀「おいで。ここが静まるまで外で待とう」

結鈴・龍輝「「うん!」」

「…………え?」


光秀さんがあまりにもナチュラルに子供達を連れ出してくれてびっくりした。


謙信「ここに着くまでの間、明智はああして結鈴の面倒をよく見てくれた」


私の視線に気が付き、謙信様が渋い顔ながら説明してくれた。


「へ、へえ、そうなんですね。意外だなぁ。
 いや、でも子供が居るって言ってたし普通なのかな。
 あとでお礼を言っておきますね」

謙信「…ああ」


謙信様の眉間の皺が寄ったままだ。
感謝しているんだろうけど、素直に言えないのかもしれない。

9人で寝るとなると小屋の中はいっぱいになった。隅々まで干し草が敷かれ、各自、掛ける物を用意している。

がやがやと寝る仕度をしている一同を見ていると、修学旅行みたいだ。


「謙信様、子供達を呼んできますね」

謙信「わかった」


外に出ると辺りは暗くて、月明りを頼りに周囲を探した。


「結鈴?龍輝?」


呼びかけるとすぐに三人は姿を現した。
ホッとしたのも束の間、龍輝の着物が盛大に汚れていた。


「龍輝…なんでそんなに汚いの?」

龍輝「えへへ、ちょっと転んじゃって」

結鈴「みつひでさんが足元に気をつけてって言ってくれたのに、龍輝、走っちゃったんだよね~」

「もぉ、龍輝ったら」

龍輝「中、終わった?僕、着替えてくるね!」


怒られる気配を察し、龍輝がそそくさと歩いて行く。


(ず、ずるい)


結鈴「結鈴、手、洗いたい」

「はいはい、中に謙信様が居るから新しい着物出してもらって?
 手は一人で洗える?」

結鈴・龍輝「「はーい」」


二人が小屋に走っていき、中に姿を消した。


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