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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第58章 時の神


「はあぁぁぁぁぁ~~~~~」

佐助「どうかした?また信玄様にからかわれた?」


家康並みに大きなため息をついていると、いつの間にか佐助くんが近くに来ていた。

ちらりと見ると信長様と光秀さんが訝しげにこちらを見ている。

どうやら三人で話し合いに集中していて、キスは見られなかったようだ。

信玄様なりに私を慰めてくれたんだろうけど、刺激が強すぎる!


(見られなくて良かった。あれ、そういえば……)


いつの間にか居ない人物がいる。


「うん、まぁ、そんなとこ。ところで蘭丸君は?」

佐助「ああ、蘭丸さんなら早々にこの時代に残ると言って、干し草の原料と薪を集めに出かけて行ったよ。
 急に人数が増えちゃったからね」


申し訳なさそうに佐助くんが言った。


「そうなんだ……」


寂しそうにしていたけど、決断は誰よりも早かったそうだ。


(あとでお話きいてあげようかな)


蘭丸君は人の気持ちを察するのがとても上手だし、そのおかげですぐに仲良くなれた。

でも蘭丸君自身の気持ちは忍びとしての習性なのか隠れて見えにくいことがある。

どう思ってこの時代に残る結論に至ったのか聞いてあげたい。


佐助「信長様と光秀さんも30年前には戻らないと言ってるんだ」

「え?」


二人を見ると、何やら話している。

佐助君が持っていた現代版の地図を熱心に眺め、指を滑らせて低い声で言葉を交わしている。

着物が黒と白で、見た目が対照的な二人だけど、こんなにも親密だ。

史実とは全く違う真実の姿に、胸が温かくなる。


佐助「……特に光秀さんは『明智光秀は死んだ』と、最初から戻る気はなかったみたいだ。
 ただ信長様の判断によっては戻る選択肢があったみたいだけど、信長様も戻らないと決めたから二人とも残る事になった」

「そうなんだ…。じゃあ皆、戻らないんだね」


足並みが揃ったことは嬉しい。

でもタイムスリップしたことで皆を巻き込んでしまったという想いが未消化だ。

信玄様には感謝されたけど、素直にそれを受けとれず喉元に引っかかっている。


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