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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第58章 時の神


(姫目線)

(これは夢なのかな)


信じられなくて試しに名前を呼んでみる。


「謙信様……?」


謙信「なんだ?怪我はないか?」


(返事をしてくれた!)


私の両手を握る手から温もりが伝わってくる。
急いで自分の頬をムニっとつねってみたら、痛い。

謙信様が怪訝そうにしている。


「いたい…。ほ、本物だっ!謙信様だ……っ」


ボロボロと涙をこぼすと謙信様はややあきれ顔だ。


謙信「何を言うかと思えば、お前は起きているだろう。夢でも幻でもない、こうしてお前に触れているだろう?」


いつかと同じやりとり。

優しい手つきで頭を撫でられ、顔の輪郭をなぞるように細い指先が滑る。
その刺激だけで身体が熱をあげた。


(ああ、この触れ方は謙信様だ。また会えた!)


私も触れたくて手を伸ばすと、謙信様が両手でしっかりと握ってくれた。
お互いの存在を確かめるように手が白くなるくらい握り合った。

龍輝よりももっと力強く深みのある瞳から目が離せない。


「うぅ、謙信様。また会えて良かったです、どうなることかと…」


涙が止まらない。


信長「夫の元へ戻れ」


信長様が私の身体を謙信様に引き渡してくれた。

信長様より少し線が細く、でもしっかりとした強さと安定感のある腕に抱かれた。


「うぅ…」


涙があふれた。

頬に謙信様の胸が当たる。
見慣れた白い着物が視界に入るだけで嬉しい。
嬉しくて思わず頬ずりしてしまうほどに。

心の底から喜びが湧きあがってきた。

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