• テキストサイズ

☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第57章 双子



クマが踏みつけていった跡を探りながら走っていると先の方から耳を塞ぎたくなるような爆音がした。

以前佐助がかんしゃく玉の試作品を炸裂させた時と音がにている。


佐助「あれは俺が舞さんに渡したかんしゃく玉ですっ!」

謙信「気をつけろ、音に驚いたクマが引き返してこちらに来るかもしれん!」

佐助「はい」


佐助は懐から苦無を取り出して駆ける。
ずっと全力疾走を続けている上に道は上り坂だ。


(きついな)


体力に自信はあるが流石に足の運びが遅くなっている。

かんしゃく玉が使われた場所を一瞬で通り過ぎ、走り続ける。……やっと舞の姿を確認することができた。

だがその背後にはクマが迫っている。


(舞には傷一つ負わせないっ!)


あの柔肌に醜い爪の跡など残してはならない。
血が沸騰するように熱くなり、足の裏に力をこめ地を蹴った。

佐助がクマの意識をこちらに向けようと手裏剣を手にした時、向こうから走ってくる男の姿が見えた。


佐助「あれは!」

謙信「何故信長がっ!?」


驚く俺達の前で舞は信長に助けを求めるように必死に駆け、その足元に頭から滑り込んだ。


クマを挟み、俺と信長の視線が合った。


ピストルを構えた信長に対し、クマは歩を緩めた。


クマとの距離が縮まり、やっと刀が届くところまできた。


(今だ!)


抜刀しクマを背後から切りつけた。

獣とはいえ、背後から襲うなど卑怯な真似はしたくなかったが致し方ない。

信長は発砲する気はないらしく、こちらを見ている。

一太刀浴びたクマはやっと俺と佐助の存在に気が付いたようで、巨大な体躯をこちらに向けた。

我を失ったクマは後ろ足で立ち上がって襲い掛かろうとしてくる。


(笑止!)


立ち上がったおかげで至る所の急所がさらされている。

急所を見定め二度目の太刀を浴びせるとクマは四つん這いに戻り悶えている。


謙信「佐助、首の後ろを貫け!」

佐助「はいっ!」


佐助は近くの雑木の枝に飛びあがり、苦無を真下に向けクマの首めがけて飛びおりた。


/ 1735ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp