• テキストサイズ

☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第57章 双子


結鈴「パパ!龍輝が怖がってる!」


伝染したように結鈴の身体がガタガタと震え始めた。
顔色が真っ青だ。


信玄「結鈴、落ち着け」


荷物を置き終わっていた信玄が結鈴を両手で抱き上げた。他の三人は結鈴の様子に戸惑い、思案している。


結鈴「パパ、助けに行って。早く!」


瞼の向こうで何かを見ようとしているように、結鈴は目を瞑っている。


結鈴「龍輝は川の傍に居るの!たぶん…あっち!」


結鈴が指差したのは川の上流。

謙信は結鈴の声に反応して走り出し、佐助がすぐ後ろを追いかけた。


――――
――

二人が走り続けてしばらく、結鈴の勘違いかと疑念を持ち始めた頃、前方に小さな桃色が見えた。


謙信「あれは……」


見覚えのある桃色の着物。

こちらに背を向けている姿は紛れもなく舞だった。
すぐ傍に龍輝が立っているのが見える。

やっと会えたと安堵したのも束の間、二人の様子がおかしいことに気づく。


謙信「あれは、クマか!?」


舞が動きを止めている理由に気づき、謙信は背筋を凍らせる。

舞達とそう遠く離れていない場所に黒く大きな獣が見えた。
戦う術を持たない二人がクマに襲われたら一巻の終わりだ。

謙信はちっと舌打ちした。
全速力で駆けているが、まだ距離がある。


謙信「佐助、先に行けっ」


河原には無数の石が転がり、全速力といってもセーブしながら走らなくてはならない。
こういう道ならば、身のこなしの軽い佐助の方が有利に走れる。


佐助は返事をして走っていくが、クマは一歩、また一歩と舞に近づいていく。


/ 1735ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp