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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第57章 双子


(第三者目線)

洞窟で冬を迎えるわけにはいかないと、謙信達一行は佐助が見つけたという海辺の集落まで移動することにした。

結鈴の体力に合わせての移動はゆっくりとしたもので、佐助が2日で駆け抜けた距離を10日かかる程だった。

結鈴自身も頑張って歩くものの1時間歩いては休み、の繰り返しで、昼が過ぎる頃になると誰かがおぶわなければいけなかった。

『疲れた』『眠い』『歩きたくない』と泣く結鈴を、皆がかわるがわる慰め、励ました。




10日目、やっと到着した集落で部屋を一室借りた。

洞窟を出てからずっと野営だったので、粗末な部屋とはいえ結鈴は喜び、倒れるように眠りについた。
部屋には謙信が残り、他は集落の人間から情報を得ようと出かけて行った。

謙信は寝ている結鈴の頬を指先で撫で、労をねぎらった。


謙信「本来であれば幼いお前にこのような旅をさせたくはなかった。許せ」

結鈴「……ん、ママ」


頬をなでる指先を舞と勘違いしているのか、寝ながら結鈴は頬を寄せてくる。

その様子に謙信は切なげにため息をついた。


謙信「結鈴の母はどこへいってしまったのだろうな」


今のところ何の手掛かりもない。
佐助がワームホールの観測を続けているが、兆候はみられないという。


謙信「舞」


以前のように我を失わないのは一年かけて積み重ねた日々があるからだ。

交わし合った想いが、離れても確かに胸にある。


謙信「……」


寝ている結鈴が目に入る。

ぐずって泣いているかと思えば『パパには結鈴が居るからね』と笑いかけてくれる。

それがどんなに心救われるか、結鈴は知らないだろう。


謙信「子がこのように愛しい存在とは…」


謙信が身をかがめて可愛い寝顔を見ていると、建付けの悪い戸が大きな軋み音をあげて開いた。

咎めるように謙信が見ると光秀が立っていた。


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