第1章 触れた髪
「まだ少し先だからワームホール出現時間がはっきりとわからない。
けど年明け、1月下旬から2月下旬あたりじゃないかと思う。場所は安土になりそうだ。
観測を続けてもっと正確な時間と場所がわかったら教えるから」
500年後に帰れる可能性が出てきて、胸が弾んだ。
「わかった。教えてくれてありがとう。
佐助君は凄いね、こうしてワームホールの計算もできちゃうし、忍者になって謙信様に『俺の忍びだ』って言われるくらいだし」
私一人だったら心細くて、怖くて何もできなかった。
佐助君が『せっかくだから戦国ライフを楽しんだ方が良い』と言ってくれたおかげで前向きに暮らせた。
佐助「いや、君を巻き込んでしまった責任が俺にはある。それに忍びになったのは戦国時代で手に職をつけたかったのもあるけど…。いや、なんでもない。
それじゃ、そろそろ行く。
俺達はしばらく安土にとどまる予定だ。城下で会ったらお茶でもしよう」