第2章 お兄ちゃんとの出会い
「瑠璃さん、お願いです。
点滴だけでもしないと心配です。」
そんな事言われても、生きてたって友達ひとりいない私には、理由なんてなかった。
「いや。」
そういうと、私は布団に潜った。
日に日に体重も落ちていったし、やつれた気もする。
でも、それで良かった。
厄介者の他人を引き取るなんて、信じられないから。
「いい加減になさい!」
そう、寂雷先生の怒った声を聞いたのは
初めてだった。
「え…。」
その後抱きしめられた。
「騙していてごめんなさい。
でも、同情や情けで引き取れるほど命は簡単じゃありません。
私のことを嫌ってくれても構いませんが、せっかくの命を粗末にしないでください。」
その瞬間溜まってたものが一気にあふれでた。
「だって…おに…ちゃん…家族…。」
嗚咽が混じった声なんて、お兄ちゃんには分からないだろう。
でも、抱きしめてくれて
背中をとんとんしてくれるお兄ちゃんは、間違いなくお兄ちゃんで。
「ごめんなさい、でも
これからも私を家族としてみてくれませんか?
こんど、夜どこかに食事に行きましょう。
仲直りです。」
そう笑って話すお兄ちゃんに、私はうんと答えた。
それからは、ご飯は少しずつ食べれるだけ食べて
点滴を抜いたり暴れたりすることも無くなった。
友達こそ出来ないけど、お兄ちゃんがいれば満足だった。
ある日冗談でお父さんと呼んだら
「やめてください。」
そう複雑そうに答えてた。
本も、沢山呼んだ。
勉強だって人より劣るかもしれないが普通にはできる。
車椅子に乗らなくても、歩けるようになった。
それは、いきたいって
お兄ちゃんと一緒に、色々な本や景色を見たいって思ったからだと思う。