第2章 お兄ちゃんとの出会い
私は生まれた時からこの病院だし、親もいなかった。
白髪赤目の私を化け物と言って、飛び出して言ったらしい。
残された私は保育器に入れられて、施設を探し回られていた。
しかし、そんな病気の子供受け入れたいという施設はなかなかなかった。
そこで研修医を勤めていたお兄ちゃんは
医師免許を取得したら、この子を引き取られせて欲しいと院長に打診した。
当時まだ20代そこそこの駆け出しが、そんな苦を背負うものじゃない。
そう院長にとめられたらしい。
それでも、お兄ちゃんの意思は硬かった。
私を引き取ると決め、医師免許に合格して
一室をいつでも見れるようにと私のために契約してくれた。
暇さえあれば、絵本を読みに来てくれたり
遊び相手にもなってくれた。
外に出れない私が出れる夕方から夜には
許可を持って外に連れてってもくれた。
むかし、聞いたことがある
「お兄ちゃんは、なんでお医者さんになったの?」と
お兄ちゃんは
「私は助けれなかった人がいるから、同じ苦しみをしたくないからですよ。
自分が医者なら、助けれることも増えるでしょう?」
そう悲しそうに言った。
「じゃぁ!
瑠璃はお兄ちゃんのお嫁さんになる!
お嫁さんって、疲れてるお父さんをヨシヨシってするんでしょ?」
そう笑顔で言うと、お兄ちゃんは
「楽しみにしてますね」
そう言ってくれた。
あの時から5年、ある日ナースから聞いてしまった。
「あの子、寂雷先生の本当の妹さんじゃないんですよ」
衝撃が走った。
じゃぁ、今までお兄ちゃんだと思ってたあの人は一体誰?
お兄ちゃんは、形上お父さん…?
「瑠璃さん、検査に行きますよ」
そういうお兄ちゃんに、私は何も答えなかった。
「瑠璃さん、気分が悪いのですか…?」
そう手を取ろうとするお兄ちゃんの手を、私は振りほどいた。
「嘘つき…。」
そうただ答えると、お兄ちゃんはハッとした顔をした。
「やっぱり、お兄ちゃんじゃないんだ。」
そう答えると、私は点滴の管をべりっと破いた。
「同情?さっさと殺してくれればよかったのに。
こんな不自由なからだで、無理に生きてたくないんだけど?」
そう吐き捨てると、私は次の日から一切の治療と検査を拒否した。