第5章 歌舞伎町バニック
「どうしよう…」
路地街に近い所までさまよってしまって、帰り道が全くわからなくなった。
駅も見当たらないし、派手なお姉さんが道端で男の人と話してる。
それは、とても怖かった。
「少し寒くなってきた…。」
走って汗をかくと思わなかった。
でも、暑さはやはりあったからいきに羽織ってたものをお兄ちゃんに預けていた。
「お嬢ちゃん?」
声をかけたのは、少し派手な格好をした
サングラスに帽子のおじさんだった。
「は、はい…。」
どうしよう…怖い…。
足がすくんでしまって逃げることも出来ない。
そんな私に、おじさんは表紙抜けたことを言った。
「お前さん未成年だろ。
こんな危ないところうろついちゃいけねーよ。」
そういって、大通りまで案内してやる。
と、手を引っ張ってきた。
「や、やだ!」
そう拒否するも、力の差なんて当たり前で。
叶うわけなんてなかった。
「チッ…。
いいから大通りの交番まで連れてってやるからこい!」
そういって、連れられて行った先はほんとに交番だった。
「どうしました?」
そう優しく言うお巡りさんに、
「さっき裏通りで拾ったんだが、多分迷子でねぇ
しゃぁねぇから送ってやったのさ。」
そういって、おじさんは私をお巡りさんに預けて去ろうとした。
「すみませんが、お兄さんも一緒にいて貰えませんか?状況とかもお聞きしたいので。」
そういうお巡りさんに、舌打ちしながら椅子に座るおじさんは、早くしろと目線で訴えていた。
「では、お嬢さんの名前を教えて貰えますか?」
そう言われて私は神宮寺#NAME1、と名前を伝えた。
その瞬間おじさんの眉が動いた気がした。
「御家族の連絡先とかはわかりますか?」
そういって、家族であるお兄ちゃんを思い出して
私はいないと答えた。
「嬢ちゃん家出でもしたんかい?」
そういうおじさんに、私は元々家族がいないと言った。
「じゃぁその服や薬は誰が用意したんだ?
結構長いこと点滴やらしてんだろ。」
この人は人を見る特技でもあるのだろうか?
なんで、と聞くと
「人生長いんでね、分かることもあるさ」
と笑った。
その時、交番のドアを開ける人がいた。