第4章 初めての歌舞伎町
「どどどどうしましょ、先生!」
慌てる独歩くんに私は宥めようとしましたが、あいにく私も内心生きた心地がしませんでした。
初めての外、初めての感覚。
あの子にとって刺激が強すぎたのはわかってますが、分からない場所をあんな薄着で走れば幾ら8月といえど汗で肌寒い。
「先生!瑠璃ちゃん携帯は!」
そう話す一二三くんに、病院の兼ね合いで持たせてなかったことを話した。
院内はPHSで連絡してたので、院内でしか繋がらないものなど今は持ってるわけがなかった。
とりあえず、探さないと。
このまま危ない目にあっては、あの子は一生外に出れなくなる。
「とりあえず、僕は歌舞伎が庭です。
探せるだけ探します。」
そう言ってくれる一二三くんは、とても頼もしかった。
「ありがとう。
私は警察などに迷子として捜索をお願いしてみます。
独歩くんは、万が一のためにここで待っていてください。」
そう言い残すと、各々歌舞伎の街を探し始めた。