第4章 (その夜のお話)
「ん。それもですけど。
鉄朗さんへの気持ちがものすごく高まってます」
「………なにそれ」
「恋にもいいんでしょ?」
「何?名前、俺に恋してくれてんの?」
「何言ってるんですか。
私はずーっと恋してますよ?
鉄朗さんは違うんですか?」
結婚して、さらに子供が産まれてからは
こういう話題はほとんどない。
ただ、私は未だにこんなにドキドキしちゃうのに
鉄朗さんはもう違うんだと思うと、
なんだかちょっと、ムッとしちゃう。
「俺が違うって?
アラサーなのに、3年も名前に片思いしてたこの俺が?」
なぜか挑発的な目
「だって、なんか私ばっかり」
「俺も、ずーーーっと恋してますけど?
子供の母親としてとか、
家族としても名前のことが大切だけど、
付き合う前とか、付き合った後とか。
名前のことを愛おしいって思う気持ちは
どんどん増すばかりなんですけどォ~?」
「そうなんですか?」
「ウン」
少し下にいた黒尾さんが、同じ高さまで。
そして
深く、深く
唇がふさがれる。
久しぶりに酸素が足りなくなった私の頭は
どうしようもなくクラクラする。
「名前?」
「はい?」
「好き」
大好きな声が、直接鼓膜に響く。
それだけで、背中を何かが駆け上がるような感覚。
ただ、私も負けなられないから
「私も」
腕を、鉄朗さんの首に巻き付けて
もっともっと、私の近くへ