第1章 冬至
食事後、今からお風呂の時間。
ちょうど "お風呂が沸いたよ~" って
いつもの音が知らせてくれる。
「あ、黒尾さん。今日冬至ですよ」
「あ、そうか。
え、じゃあもしかして今日柚子湯?」
語尾に音符マークが付いている黒尾さん
「残念ですが、違います」
「ちょっと期待しちゃいました~」
「ねぇ?」
「ん?」
こんな私に、今度はハテナ顔
「いや、昨日の夜思い出して
今日のお昼休みに買いに行こうと思ってたんですけど行けなくて。
で、帰りは案の定売り切れでした」
「なるほど。もう少し早く気づけばよかったな~」
「なんなら金曜の帰り、スーパーで見たんですよ。
なんか、めちゃくちゃ柚子置いてあるな~ってまで思ったんです。
だけど、今日が何月何日で
何のための柚子なのか全然ピンとこなくて。
残念です」
「じゃあ、来年は二人で覚えておこう」
「あまり自信がないので黒尾さんに託します」
「オイ」