第12章 身の危険
空港からさほど離れていない大哥の邸宅には会話が弾みだした所で到着した。
塀は何処まで続いているのではないかと思うほどで前にも増してセキュリティが厳しくなっていた。
周囲2㎞は大哥の敷地で全て虫すら入り込めないようになっており、その周辺の街自体が大哥の会社で運営されていた。学校から病院、マーケットあらゆる物があった。
美鈴:「哥哥、大哥の家って門からこんなに遠かった?」
宇航:「いや、5分くらいで着いたはずだけど。」
アンソニー:「ウォレスの件と今回の件も重なって、元々計画していたことを一気に始めたんだよ。指示してくれる人たちの身の安全も考えてね。」
美鈴はアンソニーが人の上に立ち、世界を束ねてほしいと思った。人を引くつける魅力があり、その人たちの能力を見抜き導き数珠つなぎに広げてゆく。すべての事を一人でこなすのではなく、的確に分野にたけた人材を配置して分野の開拓をしていく。三国時代の劉備玄徳と諸葛孔明を掛け合わしたような人だ。
宇航:「哥哥、前よりも使用人が増えた?」
アンソニー:「ウォレスが来てるのもあるけど、敷地を大きくして邸内に色々作ったからそこを管理してくれる人もいるからね。」
美鈴:「大哥のやることは桁違いすぎてもう驚くこと忘れた。」
やっと玄関に着き、執事が運転席のドアを開け、他の使用人たちが美鈴や宇航側のドアを開けた。
そこには待ちわびたウォレスが美鈴に抱きついた。
ウォレス:「美鈴、会いたかった!!」
美鈴:「苦しい・・・。分かったから、ひと息つかせてよ。」
ウォレス:「ごめん、会えたのが嬉しくて。」
その姿は、モデルとして世界中の女子を魅了するウォレス・チャオではなく、飼い主を待ちわびていた大型犬にしか見えなかった。
宇航:「ウォレスは相変わらず、美鈴しか見えてないね。」
ウォレス:「宇航哥哥、久しぶり。見えてないわけじゃないよ。宇航哥哥には会える機会多いけど、美鈴とは幼い頃は年に一度は会っていたけど。僕がモデルになってからは中々会えないから。」
アンソニー:「とりあえず中に入って食事しながら話そう。」