第3章 名前はね…。
お兄さんの案内でなんとかお兄さんの家に着いたが、歩くたびにお兄さんの重さがどんどんましている。
これは重症じゃないか?
急いで家にあったベッドにお兄さんを横にして、消毒や包帯がないか探し、お兄さんの手当てをする。
だが、医者でない自分では消毒して包帯を巻くだけになってしまった。
家の中を勝手に探った事は後で謝ろう。
お兄さんはいつの間にか眠っていたので、聞きたい事も聞けなかった。
優浬も思いの外疲れていた様で、いつの間にか床に座り、ベッドに頭を乗せる状態で眠っていた。
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「おい、おい。いつまで寝てる気だ。さっさと起きろ。」
《ん~………、あれ?……おはよーございます…。》
「チッ、何言ってるかわかんねーよ。」
寝起きでボーッとしている頭で挨拶をするが、何故か舌打ちが返って来た。
優浬は呑気に夢じゃなかったんだ…、と思うだけで再び眠りに付こうとベッドに顔を押し付けた。
が、お兄さんのチョップによって起こされた。
「おい、寝るんじゃねぇ。」
《…………わかんないなぁ。》
相変わらず言葉が通じない事に項垂れるが、昨日は寝てしまって聞けなかった事があったと思い出した。
何故怪我をしているのか、此処は何処なのか、何語を喋っているのか、お腹は大丈夫なのか、などなど…。
しかし言葉が通じないならそれすら教えて貰えないじゃないか。
優浬は再び項垂れた。