第9章 変化が怖いんだ。【リヴァイ】
ガチャリ、
「あ、おかえ、なさい。」
「あぁ。」
「ごはん、できる、ました。」
帰ると、直に気付くユリが出迎えて来るのが日常化していた。
ぞわり。
日はもうとっくに落ちていて、帰って直ぐ様飯を食べれた。
ぞわり。
以前まではありえない事が、当たり前になってゆく。
ぞわり、ぞわり。
―「…………落ちるなよ。」―
リンズビーの言葉が、思い出される。
―コイツが居るせいで、俺は落ちるのか?―
コイツが来てから、あまりゴロツキをボコッてない。
ナイフを使うのが少なくなった。
前より帰りが早い。
なんだ?俺は普通の生活がしたいのか?
そんな筈ないだろう。
俺は一生此処に居るんだ。
変わったらいけねぇんだよ。
もし、ヤツが行ったように俺が甘くなってンなら、それはマズイ。
此処は地下街だ。すぐに殺される。
この女のせいで俺が変わっているなら、早く、処分しないと。
「リヴァ、イ、さん?」
でも、コイツはまだ子供だ。
歳は俺とさほど変わらないだろうが、まだ子供なんだ。
「……何でもねェ。」
せめて、地上でも生きていける位俺の知ってる限りの常識を教えよう。
あっちで生きていけると判断出来たら、此処から追い出せばいい。
俺はそれ以上変わる事はないし、お前もこんな犯罪者だらけの場所から出られる。
お互いにイイ話だろ?
変わるのが怖いから追い出すんだ。
弱い俺を許してくれ。
END.