第8章 伝えたいよ。
「つくえ」
「ずきゅえ」
「ちげぇ、机だ。つくえ。」
「ちゅく、……ずゅ〜〜、ずゅくえ。」
「……………。」
さて、何故こんな意味不明なやり取りをしているかと言うと、昨日の一件があった後、優浬はリヴァイの下で暫く世話になる事になった。
その際にリヴァイが、「最低読み書きを出来るようにしろ」と言ってきたのだ。
…………その言葉を理解するのにも時間がかかったのだが。
リヴァイが適当にあった本を優浬に投げて寄越したところ、日本語のカタカナを逆さにした様な文字だったので、理解するのに問題はないと安心したのだが、思わぬ所に落とし穴があった。
発音が全く出来ないのだ。
文字は似ているが、発音は日本のソレと全く違う。
英語と言うよりは、以前友人が自慢していたドイツ語っぽいと思われる。
リヴァイも読み書きは問題ないと判断したのか、発音ばかり勉強させる。
勿論、彼以外に教えられる者がいないので今まさにそれの教育中なのだが……。
「つくえ。」
「ずくえ。」
会話の道は程遠い様だ。