第7章 私だけの秘密。
どうしようか。
嘘を言って家があると言うか?本当の事を話すか?
後者を選んだ場合は下手な嘘を言っていると思われるだろう。
少なくとも私ならそうする。
チラリとリヴァイさんを盗み見る。
が、バチリと目があってしまった。
隈もあるし、鋭いし、見ていてとても怖い目だけれど、瞳のグレーは何処か優しい。
私みたいな黒じゃない、優しいグレー。
………綺麗。
私は無意識の内に頷いていた。
《今は、ありません。》
通じない日本語を話す。
通じない筈なのに、リヴァイさんは私の言葉がわかってしまった様だ。
ほら、やっぱり通じてしまう。
聞かなくていい事なのに。
リヴァイさんは私に手招きをして、スケッチブックを閉じる。
私が近づくと、手を伸ばして私の頭を不器用に撫で付ける。
「********」
わからない筈なのに、わかってしまった。
それは私にとって好都合な事で、リヴァイさんには迷惑な答えだ。
首を慌てて振ると、下から鋭い目付きで睨まれたから黙るしかない。
なんで、この人は。
目の色と同じ様に、彼は優しかった。
彼の言った言葉の意味を知りたかった。
彼と会話をしたくなった。
“ここに居ればいい”
私は彼が言った言葉を知る事が出来るのか。
出来たら、イイなぁ。
今も彼の目は、ヤサシイ。
ついつい私は思ってしまう。
あの目に嫌われたくない。
END.