第6章 普通なお前の目は、【リヴァイ】
女に支えられながら自分のベッドに横になる。
女はリヴァイを横にすると、そそくさと部屋を後にした。
そこでリヴァイは我に返る。
やってしまった。と
もし女の今までの行動が全て演技だとしたら。
今頃金目の物や食料など全て奪われているだろう。
何がコイツにならいいかだ。
本当に普段のリヴァイなら有り得ない事をしてしまった。
こんなヒョロヒョロ女が何かしたってすぐに殺せる?
違う、今までだってそうやって騙してきた奴を何人も見てきただろう。
本当に俺はどうかしていた。
この後あの女が俺を殺しに戻ってくる可能性だってあるんだ。
リヴァイは枕の下に隠していた小型ナイフに手を伸ばした。
女の気配が近付いて来る。
―――殺れ、じゃなけりゃこっちが殺られるぞ。
だが、次の瞬間リヴァイは呆気にとられた。
彼女の手には、ナイフでも、ピストルでも、金目の物でもない。
しばらく使っていなかった、救急箱が握られていたのだ。
目の前の光景に驚きと疑問を抱くが、リヴァイの手からナイフは放されていた。
コイツを疑っても意味がない。
理由は何一つないが、リヴァイは確かに確信していた。