• テキストサイズ

【進撃】たくさん話をしよう。

第5章 あのね、


《リヴァイさん、》

「あ?」

《ごめんなさい。》


リヴァイには、優浬が謝っているのがわかった。
リヴァイは優浬の頬に手を添え、優浬をジッと見た。

優浬は自分の頬に添えているリヴァイの手を己のそれで包んだ。
そして、自分の頬に押し付けた。

リヴァイの手は暖かかった。
再び涙が溢れる。
リヴァイの目を見ていると、自然と口が開いた。


《ここに、私の居場所は無いんです。
家族も、友人も、知り合いでさえも、居ないんです。迷子になったみたいに、不安なんです。
どうやって帰ればいいのか、どうやってお金を稼いだらいいのか、どうやって住む場所を探したらいいのか、どうやって言葉を覚えればいいのか。
全くわからないんです。帰りたいんです…。》


ポロポロと涙を流し、言葉を繋いでゆく。
最後に、すみません伝わらないのに、と再び頭を下げる。

困らしてしまったという後悔と供に、聞いてもらったのがこの人で良かったと優浬は思った。
私がどれだけ弱音を吐こうが、今目の前に居るリヴァイには何も伝わらないのだから。

今だけは言葉が伝わらない事に感謝した。

「ユリ」と呼ばれ、優浬は顔を上げるとリヴァイの灰色の目と視線がぶつかった。


「テメェが何言ってんのか知らねぇが、そんな顔させる為にパンをやったんじゃねーぞ。」

《?》

「ハァ……、面倒だな…。」


彼は困った様に頭を掻いた。

それを見て優浬は再び頭を下げた。
彼を、困らしている。
私の為に繋いでくれた言葉も、わからない。
そして、先程とは全く反対の事を思ってしまった。

彼の言っている事が知りたい。

だがまずは、彼をこれ以上困らせない為にも、この空気を何とかしよう。
とりあえず、


《リヴァイさん、一緒に食べましょう?》


彼の上から降りて、バスケットの中のパンを一つリヴァイに差し出す。
自分の物の様に差し出してしまったが、彼は優浬にチョップを一つお見舞いし、受け取った。

手が出るの早いですよ。

END.
/ 42ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp