第4章 ぽろぽろ、ぽろぽろ。
そういや此方に来てから何も食べて無かったな…、と思いながら一口パンをかじる。
はっきり言って、向こうのパンの方が何倍も美味しいが、今の優浬にはとても美味しく感じた。
美味しい美味しいと笑顔でリヴァイの名を呼ぶ。
「あ?」
《美味しいです。》
「…わかんねーよ。」
リヴァイは優浬の顔に手をやり、親指で優浬の目元を拭った。
あれ、私泣いてる…?
気づいたら涙の量は更に増してしまった。
優浬にも何故このタイミングで涙が出るのかわからない。
リヴァイは手が濡れる事などお構い無しに、次々と溢れてくる優浬の涙を拭っている。
「ユリ。」
《…っはい、》
「ユリ。」
《す、すみません。ゴミが入ったんですかね、ハハッ…。ズッ……今、止めます、から。》
ヤバイ、鼻水まで出てきた。
そんなバカな事を考えても、涙は止まらない。
優浬は無理矢理自分の目元をゴシゴシ擦るが、リヴァイの手によって止められる。
「おい、擦んじゃねぇ。」
《えっと…?》
「チッ、めんどくせぇ。」
優浬は腕を引かれ、気付けばリヴァイの腕の中だった。
リヴァイは椅子に座っているため、リヴァイに股がる状態で抱き締められているのだ。
《えっちょ、リヴァイさん!?》
「うるせぇ黙れガキ。」
リヴァイは優浬の背を一定のリズムで叩き、優浬の顔を自分の肩に押し当てた。
優浬は慰めてもらっているとわかった。
幼い頃、優浬が泣くと、父が必ずこの方法で慰めてくれていたからだ。
今はそのリヴァイの優しさが優浬にはとても心地いい。
リヴァイの優しさと、その優しさに甘えている自分が情けなくて更に目の前がぼやけた。
会って間もない人間に子供扱いされてる事も、慰められている事も、今はどうでもいい。
自らの手をリヴァイの背に回し、声を殺して泣いた
優しいですね、リヴァイさん。
END.