第2章 君の事
【昨晩、〇✕町の△丁目で謎の爆発事故が発生しました。爆発の原因は未だ分かっておらず、警察はテロの可能性も踏まえた上で捜査を───…】
「朝から物騒な二ュースだねえ」
滝れ立ての珈琲へ、ボチャボチャと角砂糖を落としながらテレビ画面で流れる報道を眺める。
爆発の原因はを襲った呪霊の仕業だろう。時刻も、場所も、七海が昨晩を助けたものと一致している。
「・・・五条、さん?」
ふと、寝室の方から僕の名前を呼ぶ声が聞こえる。声の方へ視線を向けると、寝室の扉の後ろに隠れるようにして、僅かに顔を覗かせたがいた。
「お!〜。目覚めた?おはよう」
「おはようございます・・・」
「なんで隠れてんの?こっちにおいで」
「・・・本当に五条さんなのか分からなくて」
・・・ああ、なるほど。そういえば昨晩は目隠しをしていた。
「目隠しを外しても五条さんだよ。優しい雰囲気で分かったでしょ」
「や、・・・声で分かりました」
「あ、そう」
いいからおいで、とソファの隣をとんとんと叩く。
はおずおずと扉の陰から出てくると、促されるままに僕の隣へちょこんと腰を掛けた。
「可愛いね」
「・・・?、からかわないでください」
「本当のこと言ったんだけど」
「五条さん、女慣れしてそうですし」
「言うねえ」
ていうか、なんで敬語になってんの?なんてぼんやりと思考していた最中、隣での表情が堅いものになる。視線の先は、テレビに映った爆発後の路地裏だった。
「・・・怖い?」
僕の問いに、ぴくりとの肩が揺れる。
「・・・少し、だけ。でも、昨晩のことはあまり覚えてなくて」
「そう」
・・・。珈琲を口にしながら、ぼんやりとテレビ画面を眺める。先刻から同じ報道ばかりだ。まあ、日本では爆発事故なんて滅多に無いし、当然か。
憂鬱な画面をパチンと消すと、僕はへ顔を向ける。
「よし、朝ご飯食べようか」