第10章 嫉妬心
「…」
「…」
伊地知が運転する車内の中、ひたすら静寂だけが僕らを包む。
別に怒ってる訳じゃない。
…いや、嘘。怒ってはいる。にじゃないけど。
でも、今口を開いたらを責めてしまいそうだから黙っている。
「送迎ありがと。また明日のことは追って連絡するから」
「はい、お疲れ様でした」
車を降り、の肩を抱いたまま運転席の伊地知に声掛ければ、すぐにマンション内へをつれて帰る。
足早に室内へ入った後、バタン、と扉を閉じたと同時を壁に追い詰めて、乱雑に唇を塞いだ。
「んん……!」
は困惑し、僕の服をぎゅうと掴む。
構わず、僕はの小さな口内へ舌をねじ込むと、歯列をなぞって、上あごを擽った。
びくん、との肩が揺れる。
「…はぁ、」
「あ……ごじょ、さ..……………」
唇を離し、の顔を見下ろす。
赤く染まった頬がめちゃくちゃ可愛い。
「ムカつくな」
「…え」
「宿儺にもそんな顔見せたの?」
「ちが…、……あぅっ…」
ぢゅう、と音を立てての首に吸い付けば、白い肌に赤い印を施した。
我ながら面倒な程の悪癖を持ち合わせていると思う。
まだおどおどと困惑しているの手を引き寝室へつれては、半ば投げるように彼女をベッドの上に寝かせた。
軽く、小さいの身体は、容易くベッドへ放られてしまう。
「きゃ…っ、…待って、五条さん……っ」
「黙って」
君が悪くないのは分かってる。だから僕だって必死に抑えてる方なんだ、なんて言い訳を胸襟で何度も繰り返す。
横たわったの上に覆い被さった。
僕の下で彼女は縮こまって震えている。
「…本当は、本番はもっとゆっくりって決めてたんだけど、やっぱり無理。ちゃんと僕のって印つけないと耐えられない」
「っ……」
の頭を優しく撫でる。少しだけ、小さな身体の震えが治まった。
「…僕が怖い?」
「………んーん、好きです」
「…バカ、手加減できなくなるでしょ」
可愛い恋人に翻弄されるまま、僕は再びに口づけを落とした。