第6章 亀裂
が笑わなくなってしまった。
いや、正確には愛想笑いはよく見るが、本意で象られた笑顔を見せてくれる事は無くなってしまった。
その後、宮城で呪いの王と謳われる両面宿儺の器が発見され、僕も忙しくなりマンションに帰宅する回数は徐々に減っていってしまった。
それでもは、僕のマンションから出て行くことなく、毎日健気に僕の分のご飯も作り置きしてくれていた。
「それはお前が悪いだろう」
「・・・はあ、分かってるよ」
硝子は酷く呆れた様子で僕に視線を投げる。
「は正しい判断をしようとしたのに、それをお前が酷い言葉で留めて、縛り付けたんだ」
「・・・分かってる。後悔してるんだよ」
「それで、謝ったりはしたのか?」
「・・・」
黙り込む僕を、硝子は睥睨する。
「・・・まさかお前、」
「・・・最近、どうにも忙しくて家にも帰れないんだ」
「本当に最低な男だな」
本当に自分でもつくづく嫌気がさす。
硝子が容赦なく僕に酷な言葉を浴びせてくるが、何も言えない。
「どうせ今日も帰れないんだろう」
「・・・いや、今日は帰るよ。でも明日はまた出張でさ」
「・・・明日からはしばらくコッチで預かる」
「は?」
思わず素っ頓狂な声を出してしまった僕を、硝子は歪めた瞳で見上げる。
「は?じゃねえよ。それ以上を1人でお前の家に置くのはあまりにも酷すぎる。明日の朝に迎えに行く旨をに伝えておけ」
「・・・はあ、分かった」
正直、僕に拒否権なんて無かったし、拒否出来る権利もなかった。