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カタルシス【呪術廻戦/R18】

第5章 夢と溝


「その後、どうだ。の様子は」

とキスした夜から数日後。
新しく出来た薬を手渡しながら硝子が僕に尋ねる。
僕は少し間、返答に悩んだ。

「・・・熱は引いたし、今はとりあえず体調も戻ってるよ。ただ薬はあれから飲ませてないから、今はまた僕の帳の中で過ごして貰ってるけど」
僕の返事に硝子は片眉をつり上げた。

「体調の面じゃなく、私はお前との様子を聞いたんだが」
「・・・」
「どうせお前のことだ。あの後キスしたんだろ」
「僕のことだ、って何だよ。失礼だな」
「へえ、じゃあキスしてないのか?」
「・・・したけど」

あっはは!と、硝子が高らかに笑う。ほんとこいつ、いつか泣かす。


「あんなに純粋で良い子も、セフレにするつもりか」
「・・・まさか。つか、まだヤってないし」
「まだ、ねえ」
「・・・」

ダメだ。これ以上硝子の前では喋らない方がいい気がしてきた。

「まあ、薬を渡せばすぐにでも出て行くんじゃないか?恋人でもないのにキスした相手と同じ屋根の下過ごせる様な子でもないだろうあの子は」
「はあの日のことを夢だと思ってる」
「は?」

硝子は煙草を手にした儘、唖然とした表情で僕の方を見た。

「まさか、お前の口から伝えてないのか?」
「・・・」

──────…

「おはよう、」
「おはようございます、五条さん」
キスをした日の朝、起床したと挨拶を交わす。

「・・・、体調は平気?」
「あ・・・はい。平気です」
「そっか。それなら良かった」
「五条さん、・・・あの、」
「ん?」
「・・・や、何でも無いです。なんだか今日、五条さんの夢を見た気がして」

そう言って、はどこか寂しそうに笑う。どうしてそんな顔で笑うの。

「あはは、何それ。可愛い」
「・・・」
「そういえば昨日の夜、薬の影響で熱出したでしょ」
「え、なんで知って・・・」
「朝帰ってきた時にちょっと苦しそうだったから。まあでも今は下がってるみたいで良かった」


僕はあの時間のことは触れずに話を進める。

「、朝ご飯にしようか」


────────……


「へたれ野郎が」

硝子が僕に冷たく言い放つ。
僕自身もあの日のことを、あの子だけに背負わせようとしている自分が本当に嫌になる。

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