第1章 出逢い
お前の眼で視て欲しい人間がいる。
硝子から一通のメールが届いていた。
最強は任務続きで忙しいってのに一体何の話だと、目隠しの下で双眸を歪ませる。
しかし、あの硝子が僕に直接要求をしてくるのも珍しい。
「伊地知、行先変更。今から高専に向かって」
「え、ご自宅じゃなくてよろしいのですか」
「うん」
ここ数日、転々と任務に駆り出される日々で、ようやく明日に休めるところだったのに。そりゃ僕だって出来る事ならば今すぐ自宅に戻って寝たいさ。
なんで小言を、目の前で運転をしている気弱な男に漏らしたところで何の解決にもならない。
一言返事で僕の機嫌が悪いことを察知したのか、伊地知はそれ以上高専に戻ることに対して言及して来ることは無かった。