第9章 交わされる獣愛*
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仕事から帰ってから私は琥牙から軽く貰い風邪をひいてしまっている事に気付いた。
喉の痛みを感じて、最近お天気続きで今日は妙に埃っぽいなあとか思って念の為熱を測ってみたら微熱。
気を付けていたつもりだったんだけど。
逆にすっかり回復した琥牙がそんな私を気にかけてくれる。
その日の夕食は以前私が作ってあげたみたいに消化の良いものに変えてくれた。
「ごめんね。 おれのせいで」
謝る事ない。
無いのだけれど、今のこの状況に限っては謝って貰うべきなのだろうか。
確かに最近はお預け過ぎた。
お預け、は厳密に言うと違うくって、そもそも私たちはまだまともにしてない。
「ん、ダメ……だめ……」
「だって真弥、色っぽい。 そんな顔赤くして、目とか感じてるみたいにトロンてしてる」
それは風邪のせいなんだってば。
あとはこれのせいもあるかも知れない。
暑くって、シャワーのあとに開襟のシャツを一枚羽織っただけの私をみた途端に襲ってきた。
たくし上げられた衣服の中で裸の胸を包む彼の手を、今の私に抗う力は無い。