第38章 おねだりは露天風呂で*
膝から手を外した彼が私の顎をつまんで、唇を重ねてくる。
薄く目を開いて私を見詰めて、けれども私にそれを返す余裕はなくって。
「ふ……も、もう…んッんぅ…いっ…ぁんンぅ」
ヌルルルルル……チュパっ、ヌル…チュッ。
そうして、飲み込むのも忘れていた睡液を舌で絡め取られる。
少しだけ深い、整った眼窩に見蕩れてる間に、私の口内が貪られている。
そんな唯一の卑猥な音と、押し付けられて轟く舌の感触が、快楽の層となって染み込んでいく。
「もうイきそうだね。 蕩けてかわいい……」
クリクリクリ、こりこり……
そんな風に今、弄られてる水面下の愛撫まで、絶頂直前でおかしくなっている聴覚が拾う。
「やっ……ッんやぁ…も、だめっ、んぅんッ」
足の間にある彼の腕を両手で掴み、動きを和らげようと押し付けるようしたのは、いつもより急速に感じ過ぎている自分に戸惑ったせいもあった。
一方、彼はそれを反対と意味と捉えたのか、弾力のある果実の実の皮を捲るみたいに、剥いた花芯そのものをそっと、きつく、潰される───────……けれど、私は本当はそうして欲しかったのかもしれない。
「んぅんッンんッ、んぅィくンンンんッ!!」
見詰められたまま達することや、こんな場所で外聞もなく悦んでる。
そんなことなんかどうでも良くなるくらいに、目も眩むほどの強烈な高まりを、琥牙に求めたのかも知れない。
「ン……んあっ………あ…ん……ッ」
弛緩して、ぬるついた膣の内部。
そこを責める指の動きは止まってない。
イき顔もかわいい。 夢中になったみたいに、額や瞼や頬に降らせられる口付けの雨を、私はぼんやりとした頭で受け止めていた。