第37章 私たちの牙 後編
「浩二くん。 今晩は真弥借りるね」
取り残される浩二に一応は断りを入れ、大股で歩く琥牙が里の敷地に入り、内部の階段を降り始めた。
タン、タン、タン、タンタン。
軽快にそれを降りる途中に、おーい。 と遠くから呼び止める浩二の声が聞こえた。
「浩二! オレ、里ん中案内するぜ!! 来いよ」
「浩二どの。 後ほど、里特産の酒などどうです? 朱璃様と皆さんで。 二ノ宮甥……保どのも、治療も兼ねて。 ソレは後ほど、応急処置をして一晩土間にでも括りつけておきますゆえ」
そしてそのあとに、浮かれたみんなの会話も。
「オレも?」
「俺も………いいのか?」
「是非とも─────────…」