第33章 不倫→バトル→なんで恋?
おそらくだが、私の知る限り浩二は今まで、自ら女性を好きになった経験がない。
言い寄られることはあるが、よく言えば家族愛に溢れ過ぎ、それ以外はアッサリし過ぎる性格なもんだから、押されて付き合っても当然長続きした試しはなかったし。
「あーでも、朱璃様って下手したら20代にもよゆーで見えるもんね……」
言うなれば美魔少女というか。
琥牙の歳からすれば、朱璃様って、実はたしか浩二の倍ぐらいの年齢だった気がするんだけど。
「朱璃は真弥のなんなんだ?」
「うん? 真弥には琥牙、うちの息子が世話になっている」
うわああ………見てらんない。
二ノ宮くんも私と同様の気持ちなのか、私たちは顔を両手で覆って笑いを堪え……もとい、彼の初恋から目を逸らした。
「息子………え、ああ!? は、母親? アレの!?」
「アレとは……なんとも…先ほどから礼節に欠ける弟君ですなあ」
苦々しい表情をする伯斗さんを尻目に、朱璃様が怪訝に首を傾げて浩二、それから私たちを見渡した。
「何故そこで狼狽えるか。 どうでもいいが、場所を変えんか。 明朝までは時間がある」