第6章 どっちが肉食*
正直よく分からない。
思い起こすと高遠さんといた時にはあんなに怒ってた琥牙。
私の事をお姉さんとは違うって言ってた。
なのにそれらと今の彼の態度とがリンクしない。
いざしてみると幻滅した。 彼氏が突然よそよそしくなるのは冷めてしまったサイン。 そんな雑誌にでもあるあるな言葉が頭を巡る。
もう頭がごちゃごちゃしてうわあああああああって叫びたい。
それでも丸い月を眺めながら歩いてると適当に頭が冴えて落ち着いてきた。
うんうん悩むのにも飽きた私。
切り替えの速さは私の長所である。
コンビニに軽く寄って琥牙の好きなアイスなどを買ってから足早で帰途に向かった。
「あれ、琥牙? 起きてたの? で、どこ行くの」
マンションの扉越しに鉢合わせた琥牙。
部屋着から着替えていて今から出掛けようとしてた様子だった。
「だって起きたらこんな夜更けに真弥居ないし、心配だし探しに行こうとして」
そう言われると、やっぱり嬉しい。
「ちょっと買い物がてら散歩。 ごめん、ありがとね」
それで軽くキスをしようとするとふいと顔を背けられた。
いやだから何なのよ、それ。
「琥牙っていつからツンデレキャラになったわけ?」
「なに、ツンデレって……」
「そんなに私ってお粗末だった? 変だった?」
「真弥? ちょっとなんの話」
「なんで避けるの? もう私としたくない? 私、どこがおかしかったの?」
「……そんな事ないよ」
琥牙が気まずそうに私から目を逸らす。
いい加減こちらの方も訳が分からなくなって軽い怒りが湧いてきた。
「もういい、私の事嫌になったんなら無理しなくていい!」
「んなわけない」
思わず声を荒らげてしまった私を琥牙がぎゅっと抱きしめてくる。
「真弥。 ずっと考えてたんだけど引っ越そう?」