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オオカミ少年とおねえさん

第32章 Plan - Do





「───────まさか、自分の中の『アレ』がまた……?」


至極真剣な顔をして、ブツブツ呟きながら座り込んで床を見ている琥牙に私がひらひらと手を振る。


「それはないと思うよ。 程度はあるけど琥牙のそういうとこ、変わんない変わんない」


こんな事でいちいち引っ張り出される牙汪やその他も気の毒というものだろう。


「二次性徴を遂げたばかりの雄の場合、そのようなことは珍しくありません。 子孫を残すという本能が本格的になり、先走ってしまうのだと思います。 近頃は琥牙様もお励みになっていたご様子で」


上半身にまだ何も着てない琥牙にちらりと視線を送った伯斗さんが目を楕円形に細めて言う。
琥牙がそれに嫌そうな顔を返して、ソファに引っ掛けてあったTシャツをさっさと頭から被った。


「で、それでさっきの話の続きなんだけど」


部屋の中に目を移しながら私が話を戻そうとすると、雪牙くんが琥牙を見、琥牙は複雑そうな、および若干気まずそうな面持ちで口ごもる。

そんな彼らを受けて、座り直し姿勢を正した伯斗さんが私に応えてくれた。


「真弥どの。 実は近頃、里に不穏な動きがあるのです。 琥牙様のお父上の件然り、うちにはそんな危険が絶えません。 そんな状況で真弥どのをお迎えすることを、琥牙様はずっと悩んでおりました」

「確かに安全とは言えねえけどな。 多分真っ先に真弥が狙われそうだ。 こないだだってハラハラして見てて、気配勘づかれそうになったし」


「説明してくれますか? どういう事なの?」




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