第31章 役立たずな言葉と饒舌な体*
察しの良過ぎる彼。
………でも、見え過ぎるのはきっと辛い。
なのに彼はいつも重いものを抱えて。
きっと今もそうなんでしょう?
そんな同情で、彼にこんなことをさせたのだろうか。
少なくとも私は琥牙を可哀想だと思った。
こんなに綺麗な顔と体を持っていて、こんなにも優しくて力強いのに。
休みなく交互に与えられる痛みとその隙間から忍び寄る快楽に、漏れそうになる声をいっそ両方、指を噛んで押し殺した。
そして何も見たくないかのようにかたく目を閉じた彼が、私にのめり込んでく。
もう、欲しい。 早々にそんな風に懇願した私は、彼の目に淫らに映ったかも知れない。
そして今彼は、自分の、酔ったみたいに熱を帯びた眼差しを誤魔化すために、私からすぐに目を逸らしたのかも知れない。
でも、私には見せてくれなきゃ嫌だと思った。
したくなくっても傷付けてくれなきゃ嫌だ。
私の背中に回っていた腕に力がこもり、引き下ろされたショーツが片方の足首に絡む。
怒張した自身を握り、入り口に押し当てた彼が入ってきた。
「…っ……」
ひきつれる鋭い痛みと一緒に、私の腿を腕ですくい上げる。
指が肌にめり込んで、閉じた膣肉の中に男の滾る性器をぐぐぐと埋められていく。
そんな強引な挿入にも関わらず、その時、苦痛よりも心に溢れてくる歓びが私を凌駕した。
だって、心からの対話も同じようなもの。
本当はこうしたかった。
私は耳に心地の良い言葉だけを聞きたいわけじゃなくって、こうやって、こんな風に彼と繋がりたかった。