第29章 午後11時。愛欲の奴隷*
とはいえこれまで『マテ』を続けていたであろう私が自ら言い出した『ヨシ』を翻すわけにもいかず。
気持ちいいとか好きだよ、そんなことを何度も何度も言われ、何度も何度も絶頂に連れていかれた。
途中でうとうとしかけたような気もする。
意識が戻ったらまだしてる。
夢だったのかもしれない。
でも、どっちが?
夜が明けかけて、あの媚薬の瓶も残り少なになって床に転がって。
全く乾かないで湧き続ける、彼の欲望にあっさりとこうべを垂れる、単純な造りの自分の体を恨めしくも思う。
今は彼の上に仰向けに抱かれて愛されている。
「ぁはあ…もう、そこ…は」
「またこんなにおっきくて硬くなってるのに?」
仰け反り気味の体位のために露出した胸と足の間の突起を下から優しく刺激する。
相変わらず私の中には彼のモノが挿入ってる。
というか、ほぼずっとこの状態で元に戻る隙もなく私の腟内は拡張されっぱなしだ。
琥牙曰く、これはこれで堪らないと夢中になっている。
「真弥がいくときも耐えられるし、馴染んでトロトロだから色んな体位でしやすい」
彼だってもう何度か達してる。
それでも全然萎えなくって、今更ながら我慢させてたのだなと思う。
けれどそれを差し引いても、この精力って一体なんなの?
彼らの場合の標準ってどうなんだろう。
「─────ああ。 でも、そういえばあれだね。 あとから保くんに連絡しなきゃ。 そしたら少し寝る? 離したくないな。 残念だよね。 せっかく真弥から今日一日中ってお強請りしてくれてたのにね」
ちょっと違う。
私が言ったのはエッチもだけど、ベッドでいちゃいちゃしながらお昼寝したり好きなものを好きな時間に食べたり怠惰に過ごそうって意味だった。
「あ、わ、私……もう…む、りぁああっ」
ぶっ続けで生殖行為に励もうというチャレンジング的なお誘いではない。
その辺りの認識の違いを二ノ宮くんにでも相談してみるべきか。
……そうはいっても、今日私の足腰が使い物になるかどうかは怪しいところだけど。