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オオカミ少年とおねえさん

第5章 この後掃除が大変でした




『人の姿で言う10歳ぐらいに』


人の姿で言う────────


そういやそんな事を伯斗さんが言ってた。

目を丸くしてる私に琥牙が淡々と続ける。


「あと5年、6年もすれば見た目成人になるのかな。 人より少し成長が遅いだけだと思う」


……言われてみれば。
彼の考え方や振る舞いは最初から子供のそれでは無かった様な気がする。
進んで家事諸々手伝おうとか荷物も持ってくれて色々気遣ってきたり。

子供って、本当の意味では優しくなんかないもの。


「や、やっぱり無理。 そんなの待ってたら私、お婆ちゃんになっちゃうし」


解ってはいるけどそんな弛んだ体琥牙に見られたくない。
両手を広げて後ずさる。


「大体子供産むんなら3……うぷ」


琥牙が私の口に手のひらを当てて静かに、と自分の鼻先に人差し指を持っていった。
何事かと思うとそのままこちらに顔を寄せてくる。


「好きだよ。 真弥」

「…………!?」


耳元でいきなり甘く囁かれ、心臓がどくんと跳ねた。


「んむ、……こ……」

「黙って」


背中を支えられたまま柔らかくベッドに音もなく押し倒されて面食らう。
なんたっていきなり同い歳近くに格上げされた男が熱っぽい瞳で私を見下ろしてる。


「……いい匂いする。 今も」


彼の目の色が少し薄く、鋭くなった気がする。

私、このまま食べられちゃうのかな?

そう思うとちょっと身が竦む。
けれどそれでもいい様な気がして、私はそっと目を閉じる。

乱暴にされたって、きっと私は感じてしまう。
強くって綺麗な琥牙。


私にとって彼はうんと魅力的な捕食者なんだから───────


「………………」


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