第23章 狼の里にて 前編*
その一刺しで屈服させられたように床に顔を付けながら、女が荒い息を整えようとしていた。
「不満でもあるのか」
「いい、え……ただ…わたくしは…」
「慣らしてやってるうちに話せ」
息も絶え絶えに喘いでいる間に、女が言葉を紡ぐ。
相変わらず男の方は関心なさげに、腰の帯から着物がはだけ、あらわになっている背中や、繋げてうち震えている局部、女のそんなものを眺めていた。
「わたくしは……不思議、なの……ですわ……ん……わたくし達には、普段は……あっ……お優しい、旦那様…なのに」
「……先日子を産んで、また具合が良くなったな」
「呼んで……下さらなかっ、たのも……んう……わたくし…を、気遣っていただいて、いたの……でしょう……?」
「気が済んだか」
ひと言そう言い放ち、男が抜き差しを始める。
一定のペースで、動き続けていたと思うと、時折それを抜いて、またずぷ、と入っていく。
声を上げ続ける女をそのままに、今度はその部分のみに注意を向け、男はじっくりとそこを見ていた。
「ひっ!…っあっ!…んんっ!」
女の体に徐々に快楽を植え付けていく。
「ヒダはこれのせいだな。 こんなに捲りあがって、巻き込んで挿入っていく」
臀部の双丘に向けてぱっくりと指で両側の肉を開き、自身の竿先にまとわりついてくる膜が、いちいち透明な糸を引き、いつしか細かに泡立ってくるまで観察を続ける。
ブルブル体を震わせ、最初からずっと突っ伏している女の側には、腕を立てて起き上がる余裕は無さげで、柔らかそうな頬と胸を固い床に押し付けて潰れている。