第20章 月下の交合*
それにしても……
あの体験はかなり衝撃だった。
「なんていうかこう、体が」
「蕩けそうな?」
「…わっ!? こ、琥牙、おかえなさい。 どこ行ってたの?」
開け放したドアに寄りかかって額の汗をタオルで拭った後、彼は私の差し出したお茶をぐいっと飲み干した。
「走りに行ってた。 で、なに? その500メートル先からでもバレバレの発情期」
「発……!?」
「おれとしてる夢でもみてたなら許すけどね」
「………そうだけど」
うん、嘘ではない。
「本当かな。 こっちは我慢して有り余って眠れなくって発散してたのに」
「ええと、10年後の琥牙に会った夢みたの」
感覚的には多分きっとそんな感じ。
「ところで我慢……って、昨晩?」
「そうだよ。 理性飛ばすと最近やばいから。 真弥にそんなのぶつけて嫌がられたらおれ勃たなくなる自信あるもん」
「……大変なんだね」
「うん大変だよ。 だから他の男となんて夢でも許さないからね」
「ワカリマシタ」
「で、一緒にシャワー浴びよ。 30キロ位走ったからもうコントロール出来る」
「んん? 今から」
「今から。 だってあんな匂いさせて煽られたらおれ無理」
有無を言わせない。 そんな感じで片手で私を持ち上げた琥牙がお風呂場へとすたすた向かう。
結構私はお腹いっぱいの状態なんだけど。
といいつつも、きっと欲しがりの私は求めて、そうなってしまうんだろう。
今生きて愛している彼に抱かれるのなら。