第19章 狼社会の不文律
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「最近、体が変わっていってるって解る。 力が奥の方から湧いて、持て余す時がある」
明かりを消したベッドの中で、琥牙がぽつりと話してくる。
夜の静寂を邪魔しない小さな声で私に問いかけてくる様子はない。
「けど、何でかな。 それを嫌がってる自分もいる。 ……夢をみるんだ。 そのままでいいって。 じゃないとおれはおれで無くなるって、知らない女の人がそう言ってくる」
私の知らない彼。
「真弥、寝たの?」
それはまるで底無しの闇みたいな可能性もあるんだって、そんな事を考えたら体が震えた。
「…………おやすみ」