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オオカミ少年とおねえさん

第18章 避ければ当たる面倒事



………あれ以上彼を巻き込みたくないというのが、正直な気持ちでもあったのだけど。


「そう。 でも少し痩せたよね」


それはちょっとダイエットをしたから。


「良かったら話さない? 悩み事なら役に立てると思う」


やっぱりなんだか、誤解されてるらしい。

どうしようかな。一応笑顔を作ってはいる。
しかしぶっちゃけ面倒かもしれない。

こういう時に上手くかわすのは、私はどちらかというと苦手な方。
しかも悪気ない相手だと余計に。


「桜井さん」


ぽん、と肩を軽く叩かれて振り向くと他の課の…隣の……同期で、…誰だっけ?
知らない顔の男性だった。


「えっと、お疲れ様?」

「お疲れ…って。 何してんの? もうみんな先に行って待ってる」


すっと指を差して行こう、と促してくる。
よく分からないけど。
とりあえずこの場はそのお誘いに乗る事にした。


「あっ…そか! うっかりしてた、行こう行こう」

「えっ、桜井さ」

「ごめんなさい。 高遠さん、私はこれで」


取り残された彼にはまた申し訳ないと思ったけど仕方ない。


「ありがとう。 ちょっと気まずくて、助かった」


おそらく助け舟を出してくれたんだろう同じ会社の人に礼を言い、横断歩道の逆を行こうとすると腕を掴まれる。


「え?」

「元カレか何か知んないけど、もう少し誤魔化した方いいんじゃない? まだ見てるよあの人」

「えっ」

「振り向かないで」

「…………っ! ちょ」


強引に肩を抱かれて抵抗しかけたが、見掛けよりも力が強い。
私よりも背の低い男の人だ。

それからまた歩き出し、若干駅に近付いた頃に彼が私を離した。


「ちょっと面倒くさそうな雰囲気だったから。 お節介だった?」

そう言って屈託なく歯を見せる彼はよく見ると小柄な体格に合い童顔で、それを見たらなんだかほっとした。



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