• テキストサイズ

オオカミ少年とおねえさん

第15章 月色の獣 - 新月に疾く



***
「………殺ったか」

「ああ、もうピクリとも動かない」


最期は抵抗しなかった。
ああ、実際は呆気ないものだったな。
男が足元の黒い塊を爪先でコン、と蹴る。


「しかし、どうするか……どこか近くに白髪の男がいるはずだ」

「雇い主が殺られたとあっちゃ俺達も手ぶらで帰る訳にもいくまい」


しばらく無言になる男たちの耳に、もう命の火が消えかけた微かな声が届く。


「……まだ生きてたのか」

「おい庭師。 白髪の男はどこだ? お前は会った時に怪我をしていた。 俺達がその仇を取ってやる」


「……………」



その後間もなくその初老の男の瞼は完全に落ち切った。


「あいわかった。 こんな事情で墓も作ってやれぬがすまぬ。 ……ゆっくりと休め」



/ 506ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp