第13章 月色の獣 - 馳せる想い*
「これ以上は……わたくしは、どうなってしまうの? 供牙、駄目。 お願いよやめて」
「お前の望みならば私はいつも聞いてきた。 だがお前を愛しいと思う心を私から奪うのか」
双乳に所有の徴しをつけ湛えたしずくが滴るまで、ゆっくりと蕾を開いていく。
濃く香る花はやがて綻び、急いて逸る衝動を押しとどめながら供牙は人の愛を知った。
惑う加世は供牙から与えられる道標を頼りにその手を取り、色の異なる視線同士を絡ませる。
拭われた涙の代わりに、肌に浮かぶ汗の粒を吸いその逞しい体を受け入れる頃、加世は女の歓びを知った。
そうして交わす情交は激しく深かった。
加世の震え続ける体と止まない嬌声は、生まれて初めてのそれに耐えきれぬ加世の心の叫びの様にも聴こえた。