第7章 初恋 【悲鳴嶼】
「わたしの、なまえは、ぎょうめい。」
身振りを交えながら名前を伝える。
流石に行冥は読み取りにくいらしい。
彼女の掌に「ぎょうめい」と書くと、あぁ!というように頷いた。
すると、彼女は「わたしは、奏。」
と行冥の掌に書いた。
奏に自分は目が見えないこと、
しかし、感覚のおかげで大体は分かると説明した。
「すごいね」
目の見えない少年と、耳の聞こえない少女。
それからの行冥との会話は全て掌に書かれた。
奏に分かるように寺の案内をもう一度説明し、
2人の仲も段々と打ち解けてきた。
住職が帰ってくると、2人で出迎えたので
もう仲良くなったのかと笑っていた。