第6章 目的 2 ❇︎ 【煉獄】
煉獄さんはホテルのメモ用紙を一枚ピッと破り持ってきた。
そこにボールペンでサラサラと何かを書いていく。
青いインクで書かれた美しい文字。
契約書
私西ノ宮奏は
煉獄杏寿郎の恋人として
共に歩むことを望み、
側にいる事を契約致します。
煉獄杏寿郎
「俺に堕ちたと思ったら、俺の名の下に君の名を書いて持ってきてくれ。俺の依頼はここまでだ。」
「今日は受け付けない。ちゃんと冷静な頭で見てもらわねばな。
付き合ってからその場の流れだったなど嫌だろう?」
差し出されたその紙の最後には、電話番号が書いてあった。
「その気になったらこの番号に連絡をしてくれ。
迎えに行こう。万が一、この話は無かったことにしたければ、この紙も捨ててくれ。」
「大丈夫。この紙には実質的な効力はない。これで君を付きまとえば、俺は犯罪者だ。そんなことはしない。」
煉獄さんは優しい顔をして、微笑んだ。
「わ…分かりました。」
全ては私に委ねられた。
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その後は何事も無く、楽しくお喋りしながら東京まで戻ってきた。
「本当にありがとうございました。」
「いや、こちらこそ楽しかった。」
煉獄さんは私にキスをして歩き出す。
振り返ってにこやかに手を振った。
それから1週間。
本当にアプリにも、何にも連絡は来なかった。
でも一度だけ
眠った私との写真が…送られてきた。
返信しても返事はなし。