第5章 目的 【煉獄】
ポスッとベッドに降ろされる。
なんとなく自然と覆い被さるような形になり…
私の心臓はこれ以上動きませんという程に脈打っている。
煉獄さんは私から離れる時、少し体のラインをなぞっていく。
な、なんかいやらしかったような…。
私の反対側からベッドに入った煉獄さん。
間に間隔は空いてるが同じベッドの中。
それだけで意識してしまう。
「寝るんだろう?おやすみ。」
「お、お休みなさい。」
私は煉獄さんに背を向けるようにして、眠ろうと目を閉じた。
…眠れるわけがないけど。
「あ!」
パジャマ!パジャマはどこだ!
「どうしたんだ?」
「パジャマはどこでしょう?」
「あぁ。それなら返した。」
「は?」
私は固まった。
返した?何?返したって。
「これを着ているんだ。いらないだろう?」
にこやかに笑う煉獄さん。
つまりはこのバスローブしかなくて。
これで寝ないといけないわけで。
…何してくれちゃってんの⁉︎このイケメンは⁉︎
私はロビーにパジャマを頼もうと内線をとる。
すると、後ろから煉獄さんが私を抱きしめるようにして、そっと受話器を置かせた。
「れん…「今日はこれで寝よう?」
耳元でそう囁かれれば肌が粟立つ。
右腕がお腹辺りに回され左手は私の左手を取っている。
するっと右手がお腹を撫でると、不思議なまでに力が入らなくなる。
「明日、もっと君の彼氏になりきれるよう、少し仲を深めておかないか?」
「そ、それって?」
一気に甘い雰囲気に持っていかれそうになる。
「か、体目的じゃないって言いましたよね⁉︎」
「誰もそこまでしようとは言っていないだろう。」
私は無理矢理煉獄さんから抜け出して、ベッドの端に戻っていった。
煉獄さんも反対側に戻る。
「寝るのか?」
「寝ます!」
「俺の名前は?」
「煉獄杏寿郎さん!」
「下の名前は?」
「杏寿郎さん!」
…ん?だんだん声が近くなってるような。
「外れだ。」
「ひゃっ!!」
急に耳元で声がする。
振り返ろうとすると、すぐそこに顔があって。